以下は、http://human7.2ch.net/test/read.cgi/ms/1189409329/から引用
- 303 :可愛い奥様 2007/09/17(月) 10:43:50 ID:Wfwe0FO60
- =====;;アケミ劇場;;=====
サユリの49日法要の日、叔母のスミコがシンタロウに再婚話を持ってきた。
「いい所のお嬢さんなんだけどね、子どもができなかったから
離縁されたのよ。あんたもまだ若いんだから、早く再婚しないと」。
驚くシンタロウ。
「なに言ってんだ姉さん!サユリが亡くなったばかりだっていうのに!」
しかし、シンタロウの抵抗もむなしく、御曹司であるがゆえに再婚話は
勝手に進められてしまうのである。
- 342 :可愛い奥様 2007/09/18(火) 20:53:15 ID:lnWetk5j0
- =====;;アケミ劇場;;=====
半年もしないうちに、後妻・麗子が嫁いできた。
麗子は取引先の資産家の娘だった。
痩身で上品そうな麗子。しかしその目には険があった。
サユリを亡くしたばかりで後妻…嫌悪感で麗子の顔をよく見れないシンイチ。
「シンイチさん。私、自分の子どもがいないから、息子ができて
嬉しいわ。仲良くして下さいね」。麗子の挨拶に「は、はい」としか
答えられないシンイチであった。
- 344 :可愛い奥様 2007/09/19(水) 20:37:59 ID:xm27aKXo0
- =====;;アケミ劇場;;=====
3日後、シンイチが学校から帰宅すると、家財道具が
新しいモノに変わっていた。
家具・カーテン・食器に至るまで、それまで家にあったモノとは
まるで違う趣味になっていた。
驚くシンイチに麗子は「悪いけど、私はもうここの
人間だから、私の好みに変えさせてもらったわ」と笑った。
「お母さんの、お母さんの家具はどこに?」
麗子は悪びれず「もう古いでしょ。全部処分したわ。だいたい私の
趣味とは違うしね」。
「チクショウー!」あまりの言い分に逆上するシンイチ。
そのまま家を飛び出した。
- 378 :可愛い奥様 2007/09/22(土) 00:18:12 ID:BDUrOF4B0
- =====;;アケミ劇場;;=====
庭の焼却炉で使用人が小物の家具を燃やそうとしていた。
「待って!燃やさないで!」駆け寄るシンイチ。
「坊ちゃん、奥様が急げとおっしゃるんでもうほとんど燃やしちまいましたよ。後に残ってるのはコレぐらいか…」
使用人の手からそれを引ったくるシンイチ。
それは幼いシンイチと微笑むサユリが写った写真の入った写真立てだった。
「こんなものまで…ひどい…」
「奥様のお言いつけだったので…でも流石に写真は燃やせなくてねえ」
「ありがとう。これは僕が隠しておくよ。内緒にしておいてくれ」
自室のクローゼットの奥深く、シンイチは母の写真をしまいこんだ。
陰鬱な気分のシンイチは慰めを求め、いつも賑やかな鯛焼き屋へ向かう。
頭に浮かぶのは、どっしりと全てを受け止めてくれそうな慈しみあふれる笑顔のアケミと…はにかむヨウコ。
- 381 :可愛い奥様 2007/09/22(土) 02:01:22 ID:+uFvJeCKO
- =====;;アケミ劇場;;=====
窓辺からシンイチと使用人のやり取りを見ていた麗子。
「ふん!お母さんお母さんって。実の親子じゃないくせにっ!」。
冷たいまなざしで吐き捨てる麗子。
シンタロウとの入籍時、麗子は戸籍を確認していたのだ。
生みの母の名が「アケミ」だという事も戸籍で知った。
「アケミ……どんな女だったか調べておかなくちゃ」憎々しげに呟く麗子だった。
- 461 :可愛い奥様 2007/09/27(木) 22:34:42 ID:sYDMxV6H0
- =====;;アケミ劇場;;=====
興信所にアケミの調査を依頼する麗子。
半月後、報告書が届いた。
「東北の寒村出。元ホステスですって?どんな手を使って
シンタロウに近づいたのかしら?」
近づいたも何も、シンタロウはキャバレーの客だっただけだが…。
報告書には現在のアケミの居住地、職業も記載されていた。
「鯛焼き屋?しかも借り店舗じゃないの。きっと貧乏なのね。
まさか伊集院家から無心してるんじゃないかしら」
アケミに対する敵対心を勝手に燃やす麗子だった。
- 513 :可愛い奥様 2007/10/10(水) 22:56:07 ID:VxTbOWWN0
- 明日のスターを夢みて故郷を飛び出したアイツが乗るのは夜行寝台列車。