ロングボウ

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**ロングボウ Long Bow~ &bold(){基本スペックと定義} ---- #image(longbow01-01.jpg,blank,left) |全長|150~180cm| |重量|0.6~0.8kg| |地域|西ヨーロッパ| |年代|13~16世紀| 主にグレートブリテン島のウェールズおよびイングランドで使用された弓をロングボウと呼ぶ。 長弓の一種で、戦争や狩猟に用いられたものの中では、特に長いものである。 フレームの材質はイチイ及びニレの木で、単一の素材で出来ている長弓であるということが、この弓の定義であり、特徴である。 材質が複合素材であった場合は「コンポジットボウ」という複合弓という別のものになる。 ロングボウは大型な半面、引くために必要な力が45kg(100ポンド)以上を必要とし、高度な訓練が必要であり、完全に使いこなすことは困難である。 &bold(){部位別の呼称} ---- #image(longbow01-02.jpg,blank,left) |1|干(カン)| |2|押付:アッパー・リブ(Upper Limb)| |3|うらはず| |4|ゆずか:グリップ(Grip)| |5|手下:ロアー・リブ(Lower Limb)| |6|もとはず| |7|弦:ボウ・ストリングス(Bow Strings)| |8|ノッキング・ポイント(Nocking Point)| &bold(){時代背景} ---- #image(longbow01-03.jpg,blank,left) 古くはイギリスの新石器時代から存在し、遺跡からは2つのロングボウが発見されている。 しかし、本格的に使われた記録があるのは13世紀頃からである。 その活躍の機会は多いので、大活躍した年毎にまとめてみよう。 ・1298年「フォルカークの戦い」  イギリスのエドワード1世は、ロングボウを使う弓兵を支援役ではなく、戦争の主役と呼べるほど攻撃的な兵士にしようと考え、非常に弓兵の育成に力を入れていた。  そのロングボウを使う精鋭部隊を実験的に参戦させたのがこの戦いで、スコットランドのパイク兵を完敗させるほどの成果を出したという。  このことから、エドワード1世を「ロングボウの父」と呼ぶようになったといわれている。 ・1346年「百年戦争・クレッシーの戦い」 ・1356年「百年戦争・ポアティエの戦い」  ・1419年「百年戦争・アザンクールの戦い」  百年戦争とは、イギリスとフランス間で勃発した長い年月にわたる戦争である。  クレッシー、ポアティエの両戦場では、両翼に展開したロングボウ・マン(ロングボウを使う弓兵)によって、フランス軍は手痛いダメージを受けた。  アザンクールでも同様に、騎士たちがフルボッコの刑にされたのは言うまでもない。   簡単に書けばこれぐらいになるが、これほど強かったロングボウも、火器の発展とイギリス国内での内乱で徐々に活躍の場を失っていくのである。 &bold(){使用用途} ---- #image(longbow01-04.jpg,blank,left) 左手でグリップをしっかりと握り、弦の中心部あたりに矢筈を引っ掛け、右手で弦と矢をゆっくりと後方に引く。 弦が伸びるギリギリまで引いたら、狙いを定めて、右手を離す。 射出前の角度によって飛距離や命中角度が変わるので、高度な技術を必要とする。 また、弦は非常に重いため、鍛え抜かれた腕力も必要になってくる。 矢は地面に5~10本突き刺して、射っては矢を地面から抜いて次を射る、の繰り返しをして、少しでも連射できるように工夫している。 熟練者だと、狙った場合は10秒に1本の矢を射ることが可能で、狙わず乱射する場合は6秒に1本射ることが出来たと言われている。 完全に扱えるようになるには非常に大変な武器であるが、その威力は絶大である。 イギリスのロイヤル・アーマーラーの実験によると、1470年イタリア製のプレート・アーマーの胴部分(最高厚4.57mm)を貫通したと記されている。 そんな威力の武器が、中世の戦争においては専制役・後方支援の武器として、戦場に矢の雨を降らしていたのである。 ちょっと考えただけでも、ぞっとする話である。 &bold(){「最大射程距離」と「有効射程距離」} ---- #image(longbow01-05.jpg,blank,left) 射出武器には「最大射程距離(どこまで飛ぶか)」と「有効射程距離(確実に命中させられる距離)」という、射程に関して二つの基準がある。 もちろん遠くに飛べば飛ぶほど望ましいのだが、有効射程距離が短くてはあまり意味を成さない。 例えばロングボウとクロスボウを比較してみよう。 ロングボウは最大射程距離が約300mで、有効射程距離は約150m。 対してクロスボウは最大射程距離が約450mで、有効射程距離は約100m。 一見、クロスボウのほうが遠くまで飛んで凄そうなのだが、有効射程距離が最大射程の4分の1以下と短く、安定性がない。 ロングボウのほうは、有効射程距離が最大射程距離の半分をカバーしているので、クロスボウと比較して安定しているといえる。 射出武器はどちらかというと「どこまで有効射程距離があるか」のほうが大事な武器だと言える。 ちなみに、連射速度も何気にロングボウのほうが速かったりする。 &bold(){参考文献} ---- ・文献 |新紀元社       ||武器事典         ||市川定春      著| |新紀元社       ||武器と防具 西洋編    ||市川定春      著| |新紀元社       ||図解 近接武器      ||大波篤司      著| |ダイヤグラム・グループ||武器―歴史、形、用法、威力||田島優 北村孝一 著| |幻冬舎コミックス   ||図説 武器だもの     ||武器ドットコム    著|
**ロングボウ Long Bow~ &bold(){基本スペックと定義} ---- #image(longbow01-01.jpg,blank,left) |全長|150~180cm| |重量|0.6~0.8kg| |地域|西ヨーロッパ| |年代|13~16世紀| 主にグレートブリテン島のウェールズおよびイングランドで使用された弓をロングボウと呼ぶ。 長弓の一種で、戦争や狩猟に用いられたものの中では、特に長いものである。 フレームの材質はイチイ及びニレの木で、単一の素材で出来ている長弓であるということが、この弓の定義であり、特徴である。 材質が複合素材であった場合は「コンポジットボウ」という複合弓という別のものになる。 ロングボウは大型な半面、引くために必要な力が45kg(100ポンド)以上を必要とし、高度な訓練が必要であり、完全に使いこなすことは困難である。 &bold(){部位別の呼称} ---- #image(longbow01-02.jpg,blank,left) |1|干(カン)| |2|押付:アッパー・リブ(Upper Limb)| |3|うらはず| |4|ゆずか:グリップ(Grip)| |5|手下:ロアー・リブ(Lower Limb)| |6|もとはず| |7|弦:ボウ・ストリングス(Bow Strings)| |8|ノッキング・ポイント(Nocking Point)| &bold(){時代背景} ---- #image(longbow01-03.jpg,blank,left) 古くはイギリスの新石器時代から存在し、遺跡からは2つのロングボウが発見されている。 しかし、本格的に使われた記録があるのは13世紀頃からである。 その活躍の機会は多いので、大活躍した年毎にまとめてみよう。 ・1298年「フォルカークの戦い」  イギリスのエドワード1世は、ロングボウを使う弓兵を支援役ではなく、戦争の主役と呼べるほど攻撃的な兵士にしようと考え、非常に弓兵の育成に力を入れていた。  そのロングボウを使う精鋭部隊を実験的に参戦させたのがこの戦いで、スコットランドのパイク兵を完敗させるほどの成果を出したという。  このことから、エドワード1世を「ロングボウの父」と呼ぶようになったといわれている。 ・1346年「百年戦争・クレッシーの戦い」 ・1356年「百年戦争・ポアティエの戦い」  ・1419年「百年戦争・アザンクールの戦い」  百年戦争とは、イギリスとフランス間で勃発した長い年月にわたる戦争である。  クレッシー、ポアティエの両戦場では、両翼に展開したロングボウ・マン(ロングボウを使う弓兵)によって、フランス軍は手痛いダメージを受けた。  アザンクールでも同様に、騎士たちがフルボッコの刑にされたのは言うまでもない。   簡単に書けばこれぐらいになるが、これほど強かったロングボウも、火器の発展とイギリス国内での内乱で徐々に活躍の場を失っていくのである。 &bold(){使用用途} ---- #image(longbow01-04.jpg,blank,left) 左手でグリップをしっかりと握り、弦の中心部あたりに矢筈を引っ掛け、右手で弦と矢をゆっくりと後方に引く。 弦が伸びるギリギリまで引いたら、狙いを定めて、右手を離す。 射出前の角度によって飛距離や命中角度が変わるので、高度な技術を必要とする。 また、弦は非常に重いため、鍛え抜かれた腕力も必要になってくる。 矢は地面に5~10本突き刺して、射っては矢を地面から抜いて次を射る、の繰り返しをして、少しでも連射できるように工夫している。 熟練者だと、狙った場合は10秒に1本の矢を射ることが可能で、狙わず乱射する場合は6秒に1本射ることが出来たと言われている。 完全に扱えるようになるには非常に大変な武器であるが、その威力は絶大である。 イギリスのロイヤル・アーマーラーの実験によると、1470年イタリア製のプレート・アーマーの胴部分(最高厚4.57mm)を貫通したと記されている。 そんな威力の武器が、中世の戦争においては専制役・後方支援の武器として、戦場に矢の雨を降らしていたのである。 ちょっと考えただけでも、ぞっとする話である。 &bold(){「最大射程距離」と「有効射程距離」} ---- #image(longbow01-05.jpg,blank,left) 射出武器には「最大射程距離(どこまで飛ぶか)」と「有効射程距離(確実に命中させられる距離)」という、射程に関して二つの基準がある。 もちろん遠くに飛べば飛ぶほど望ましいのだが、有効射程距離が短くてはあまり意味を成さない。 例えばロングボウとクロスボウを比較してみよう。 ロングボウは最大射程距離が約300mで、有効射程距離は約150m。 対してクロスボウは最大射程距離が約450mで、有効射程距離は約100m。 一見、クロスボウのほうが遠くまで飛んで凄そうなのだが、有効射程距離が最大射程の4分の1以下と短く、安定性がない。 ロングボウのほうは、有効射程距離が最大射程距離の半分をカバーしているので、クロスボウと比較して安定しているといえる。 射出武器はどちらかというと「どこまで有効射程距離があるか」のほうが大事な武器だと言える。 ちなみに、連射速度も何気にロングボウのほうが速かったりする。 2008年 10月12日更新 &bold(){参考文献} ---- ・文献 |新紀元社       ||武器事典         ||市川定春      著| |新紀元社       ||武器と防具 西洋編    ||市川定春      著| |新紀元社       ||図解 近接武器      ||大波篤司      著| |ダイヤグラム・グループ||武器―歴史、形、用法、威力||田島優 北村孝一 著| |幻冬舎コミックス   ||図説 武器だもの     ||武器ドットコム    著|

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