トライデント

トライデント ~Trident~


基本スペックと定義



全長 150~200cm
重量 2.0~2.8kg
地域 ヨーロッパ
年代 ???~19世紀


トライデントとは比較的古くから存在している、名前の通り三つ又の鉾(ほこ)である。
元々は農具であり、魚を捕るための狩猟用の道具で、現在でも各国の農家でその姿を見かける、一般的な道具でもある。

当初は鉾先に鹿の角が使われていたが、金属の鋳造技術の発達とともに、鉾先が金属化したと伝えられている。
そのため、原始的な槍とかなり近い時期に発生した武器ではないかと考えられている。

一般的には、ギリシャ神話のポセイドンの槍、古代ローマのグラディエーターの武器として非常に知名度の高い武器である。





部位別の呼称



刺先:スパイク(Spike)
口金:ソケット(Socket)
柄:ポール(Pole)






時代背景



「鉾先が1本より3本のほうが命中率も威力も高いじゃないの!」
そんな発想から生まれたのがトライデントである。
最初は狩猟・農業用に使われ、次第に武器として使われるようになったが、正式な武器として国家に採用されたことはなかった。

トライデントが戦闘用として始めて歴史上に現れるのは古代ローマ時代。
古代ローマ市民の国民的スポーツであるコロッセウム(円形競技場)にて剣闘士(グラディエーター)たちのガチバトルにて使われた。
トライデントは当時「フュスキーナ」と呼ばれ、レティアリウスと呼ばれた戦士達に投げ網とセットで使われた。
また同時期に海上でガレー船同士での戦いにおいて、船乗り達がレティアリウスと同様のセット品で戦っていた。
これ以後もトライデントは数々の戦争において、ゲリラ兵や農民兵に使われたと言う。





使用用途



突く。基本的にはこれだけに限る。
ただし、トライデントの真価は投げ網との組み合わせで発揮される。
剣闘士の一種であるレティアウス達は、右手にトライデント(フュスキーナ)、左手に投げ網を持っていたと言われる。
彼らは、左手の投げ網で相手を捕らえて動けなくしてから、トライデントで突き刺すという戦い方をしていたとされる。
投げ網に相手が引っかかれば、ずっとレティアウスのターンと言うわけだ。
ガレー船の船乗り達も同様の戦法を取ったと言われ、結構有効な戦闘方法だったのだが、何故かローマ軍の正式武器にはならなかった。

なお、トライデントで突かれると平行に並んだ鉾先と、返しのある先端によって傷の治りが悪くなると言う。
(今回は返しのある先端だが、ないものももちろん存在している)





様々なイメージを持つ鉾槍



トライデントと言えばギリシャ神話のポセイドンが使う、海を操る槍として有名である。
しかしキリスト教にとっては他宗教の神=悪魔と言う捉え方からなのか、西洋の悪魔がトライデントを持っている絵画がいくつかある。
普通ならこれで悪いイメージが定着しそうだが、もっと古くから芸術品やコインのモチーフとして使われている為か、悪いイメージが少ない。
イタリアのボローニャ(ポセイドン=ネプチューンゆかりの地)で創設された有名スポーツメーカー、マセラティのエンブレムにもなっているのがいい例だろう。
マセラティ社のエンブレムは結構かっこいいので、興味ある方は是非見ていただきたい。





2010年 2月2日更新

参考文献


・ウェブサイト

 wikipedia

・文献

新紀元社        武器事典          市川定春      著
新紀元社        武器と防具 西洋編     市川定春      著
幻冬舎コミックス    図説 武器だもの      武器ドットコム    著






最終更新:2011年03月01日 01:13
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