全長 | 140cm前後 |
重量 | 1.7kg |
地域 | ヨーロッパ |
年代 | 14~20世紀 |
約4cmほどの直径のポールと、シンプルな金属スパイクを持つ短槍がゴーデンダッグである。
鉄のリングとピンで固定されている、かなり簡易的なものである。
名前の意味は「こんにちは」「良い日」である。
よく「フットマンズ・フレイル」の別称として扱われるのだが、よくよく調べてみるとそうでもないことが分かる。
結論から言うと「どっちも正解」。
ゴーデンダッグに関する挿絵を見ると、このシンプルな短槍のものとフレイルのものが両方同じ扱いで紹介されているのである。
中世の史家「ジョヴァンニ・ヴィッラーニ」が書き記した書物では「ゴーデンダッグ」と呼ばれている「フレイル」が紹介されているのだが…
しかし短槍のものと混合しているため、不正確な情報であったことから、有名なフランス人建築家「ユージン・ビオレ・ル・デュク」が再度検証している。
彼が考えるゴーデンダッグは、シンプルな短槍が正しいということを推測している。
また「Goedendag」で検索した結果、大半が短槍のものを差している事から、当サイトではゴーデンダッグ=短槍という分類で説明する。
1 | 穂先:スピアーヘッド(SpearHeads) |
2 | 刺先:スパイク(Spike) |
3 | 口金:ソケット(Socket) |
4 | 柄:ポール(Pole) |
フランドル軍(フランダース民兵)によって使われたとして、中世の史家「ジョヴァンニ・ヴィッラーニ」が残した年代記に紹介されている。
1302年、ブルージュと言う町の一斉一揆で犠牲になったフランス貴族の報復を行うべく、フランドルに派遣されたフランス騎士団とフランドル軍の間で行われた戦いがある。
「クルトレーの戦い」である。
この様子をジョヴァンニ氏は書き記しているのだが、簡単に書くとこんなことを言っている。
フランドル軍は指揮官から騎士まで誰も馬に乗らず、ゴーデンダッグと呼ばれる野蛮で大きな武器を持っていた。
ゴーデンダッグでフランス騎兵の軍馬の側面を殴ると、馬は棒立ちになり、たじたじと後退した。
野蛮とか言われてたり、原文はもっと酷く(?)書いてあるのだが、そんなゴーデンダッグは歩兵や農民だけの部隊に使われたと言うのに、フランス騎士団をボコボコにし、撲殺された死者は6000人になったという。
このように熟練度が低い兵士でも扱えるのに強力だったので、「パイク」や火器が登場するまでは戦場の主役の一つに上げられていた。
持ち易く、扱いやすい長さで、ただ突くだけでいい武器である。
またモノによっては円盤状のプレートが穂先の刃元についているので、ある程度の防御も可能である。
軍事の歴史家ケリー氏は、「主要な機能は馬から騎士を落とすことにあった」と考えている。
つまり徒下の民兵が、下からゴーデンダッグを使って馬上の騎士を突き落とすという用法である。
確かに、丈夫な造りのゴーデンダッグであれば、フルプレートの騎士も突き落とせるぐらいの威力があっても不思議ではない。
今回は海外のサイトでの推論メインで「ゴーデンダッグ」を紹介したわけだが…
フレイルタイプのものも考えられるが、「フットマンズ・フレイル」という名称もあるわけで。
単純消去法で考えると、短槍が「ゴーデンダッグ」ということになるだろう。
また、これは筆者が完全に予測で考えることなのだが…
上記で「円盤状のプレートが穂先の刃元についたものがある」ということを案内しているが、実はこれとそっくりな穂先を持つものがある。
キャンドル・スティックという長柄武器である。
ただしこれは長さが3mから6m近くある、かなり長い槍である。
しかしながら、このキャンドル・スティックに関する「写真での」資料が全くないため、実は日本で認知されているキャンドル・スティックとはゴーデンダッグのことでは…?
という予想も出来ないこともない。
手元にある文献にも「文献の挿絵に登場する」という説明のみで、博物館等に現物が残っている形跡がない。
まあこれは筆者の予測の範疇なので、こういう考え方もあるんだな程度に留めておいて欲しい。
どうでもいいけど、ゴーデンダッグとハー○ンダッツって何か響き似てるよね?俺だけ?
2010年 2月24日更新
新紀元社 | 武器事典 | 市川定春 著 | ||
新紀元社 | 武器と防具 西洋編 | 市川定春 著 | ||
新紀元社 | 図解 近接武器 | 大波篤司 著 | ||
新紀元社 | 武器甲冑図鑑 | 市川定春 著 | ||
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