全長 | 100~200cm |
重量 | 2.5~5.0kg |
地域 | 古代ローマ(トラキア) |
年代 | 紀元前4~紀元4世紀 |
紀元前3世紀のS字型刀剣の一つで、トラキア人の代表的な武器の一つ。
資料によっては紀元前4世紀にもその姿を見られたことがあると言われている。
かなり大型の刀剣であり、60~100cmの鎌のような刃と、50~100cmの柄で構成されている両手剣である。
刃の長さと柄の長さが大体同じであると考えられており、日本で言う「長巻」に近い思想で考案された武器だと考えられる。
ただ、古代の武器であることから残された資料が非常に少なく、特に柄の長さに関しては憶測の域を出ない。
1 | 剣身:ブレイド(Blade) |
2 | 切先:ポイント(Point) |
3 | 柄:ヒルト(Hilt) |
4 | 鍔:ガード(Guard) |
5 | 握り:グリップ(Grip) |
6 | 柄頭:ポメル(Pommel) |
ロムパイアが紹介されている最古の記述はリウィウスの著作で、森の中で使うには長すぎることと、敵の馬の足を切断したり、首を刺して掲げたと言う使用方法が記載されている。
紀元1世紀のウァレリウス・フラックスの著書「アルゴナウティカ」では、ドナウ川下流に住んでいたバスタルエナ族が使っていたと言われている。
同じドナウ川近辺の部族であるダキア人も、ロムパイアに似た武器である「ファルクス」を好んで使っており、こちらは柄が通常の両手剣サイズの武器であった。
リウィウスの著作にあるように、馬の足を切断できるほどの切れ味があったのは確かなので、長柄の特性を生かして大きく振りかぶって薙ぎ払うのが最良の使用方法だろう。
紀元前の技術でこれほどの切れ味を持っているのは少々信じ難いのだが、1mもある鎌のような刃で切りつけることを考えると、説得力はないこともない。
また、首を突き刺して掲げたと言う記述があるが、ロムパイアの形状から見て「突き」は得意ではないと思われるので、あくまで切断した首を湾曲した先端で突き刺しただけと思われる。
以上のことから、切断力のみに特化した武器と考えるのが妥当だろう。
2008年 9月21日更新
新紀元社 | 武器事典 | 市川定春 著 | ||
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ダイヤグラム・グループ | 武器―歴史、形、用法、威力 | 田島優 北村孝一 著 |