全長 | 30~40cm |
重量 | 0.2~0.3kg |
地域 | 西ヨーロッパ |
年代 | 紀元前5~紀元10世紀 |
サクソン人固有の戦闘用ナイフとして使われたのが、サクスという短剣である。
片刃で血溝と装飾(蛇をモチーフにしたものが多かった)が掘られた刀身と、木や象牙などの有機物の柄で構成されているのが特徴である。
刀身に装飾的な溝がなければ、限りなく現代の「包丁」のような形状であり、実際戦場から姿を消した後は日用品として使用されていたという。
長さに関してはかなり多くのタイプがあるのだが、大分類をすると短剣であり日用品の「サクス」と、ショートソードサイズの「スクラマサクス」とで分かれる。
85~100cm前後の大型のものをスクラマサクスと呼び、それ以下のものは「サクス」「ショートサクス」「ロングサクス」等の名称で呼ばれた。
今回はその中でも、最もオーソドックスなタイプのサクスについて説明する。
1 | 剣身:ブレイド(Blade) |
2 | 切先:ポイント(Point) |
3 | 血溝(樋):フラー(Fuller) |
4 | 柄:ヒルト(Hilt) |
5 | 鍔:ガード(Guard) |
6 | 握り:グリップ(Grip) |
7 | 柄頭:ポメル(Pommel) |
原型は紀元前、青銅器時代から見られており、ラ・テーヌ文明(紀元前5~紀元前後)には鉄の登場とともにその形状を確固たるものとしていた。
サクソン民族固有の短剣で、4~6世紀の民族大移動から中世まで、長剣とセットで左腰につけられていたという。
ゲルマン民族の様々な墓から副葬品として出土しており、イギリスのダークのように「一生肌身から離さない大切な武器」であったということが伺える。
騎士道の到来により、大型のサクスは戦場から姿を消して、主に日用品として扱われるようになる。
しかし小型のサクスはナイフとして、長剣と投げ槍とセットで、騎士の野戦装備として使われ続けた。
やがてその姿をハンティング・ナイフへと変えていったのである。
血溝があるので突くことを前提とした構造であると言えるが、全体のフォルムを見ると斬りつける事のほうに向いていると言える。
大型化したスクラマサクスも、どちらかと言えば斬るほうに向いてることもあるし、曲刀である「ファルシオン」の原型であると言う説もある。
ファルシオンの性質を考えると、やはり斬るのが向いているのであろう。
サクスは鞘に入れるときに刃を上にして鞘に入れて腰から吊るすのだが(上記CG参照)、西洋系の短剣では少々変わっていると言える。
日本の「打刀」のように差す感じがして、日本人としては少し親近感を覚える短剣であると言える。
2008年 10月12日更新
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