グレイズ・アイン

グレイズ・アイン
GRAZE EIN
登場作品 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
型式番号 EB-AX2
全高 22.2m
重量 38.6t
所属 ギャラルホルン
搭乗者 アイン・ダルトン
武装 肩部格納式40mm機関銃
スクリューパンチ
ドリルキック
パイルバンカー
専用大型アックス
特殊機能 阿頼耶識システム


【設定】

ギャラルホルンの阿頼耶識システム搭載型モビルスーツ。

グレイズ・フレームをベースとして秘密裏に開発していた実験機で、阿頼耶識システムを研究する為の機体である。
しかし、公的機関であるギャラルホルンが阿頼耶識システムを使用する事は出来ず、そしてそれを扱える正規パイロットも組織内部に居なかった事もあって長らく研究施設に於いて開発途中で放置されていた。

元来、ギャラルホルンは厄祭戦の原因となった機械化思想の象徴である阿頼耶識システム等の有機デバイスシステムを禁忌と謳っていたが、彼らもまたその有用性故にシステムを手放す事が出来ず、秘密裏に研究を継続していた。
その末に開発されたこの機体はギャラルホルンの負の象徴とも言え、そこに目を付けたマクギリス・ファリドに組織の権威を失墜させる手段として利用された。

機体とパイロットの一体化を前提に開発されていた機体であり、高感度阿頼耶識システムでパイロットの思考を機体にダイレクトに反映させる事で機体を生身の身体のように扱う事が可能。
結果、戦闘に於いては既存のモビルスーツとは次元を異にする反応速度と挙動の自由度を誇り、阿頼耶識を単純なインターフェースとして用いる以上にパイロットの思考を機体にダイレクトに反映させ高い戦闘能力を発揮する。
その際、生々しいまでの生物的挙動は敵パイロットに生理的嫌悪感すら抱かせるが*1、一方でパイロットの精神に異常をきたすなどの弊害も生み出している。

機体は胴体フレームやリアクター、頭部センサー等にベースとなったグレイズの名残を見る事が出来るものの、頭部センサーは阿頼耶識とリンクし微細な挙動を見せる事があり、また四肢フレームは一体化したパイロットの脳が機体を自身の身体と自覚しやすい構造に変更され、戦闘兵器として洗練されていた他のグレイズのバリエーション機とは大きく異なるシルエットを持つ*2
機体サイズはフレームの延長によって20m超と一般的なモビルスーツよりも巨大化し、異貌とも言えるフォルムを持つ機体として完成しているが、伸びた手足の影響からかシルエット自体は何処かスリムな印象も与える。
また、装備する武装は射撃兵装なども併用する事が多かったグレイズシュヴァルベ・グレイズとは違い、対モビルスーツ戦に特化した格闘兵装を多数搭載している。

パイロットのアイン・ダルトンは重傷を負い植物人間状態になっていたため、液体で満たしたコックピット内に四肢を切断した*3上で格納され、強引に施術を施したと思わしき阿頼耶識デバイス及び、栄養供給用のチューブで接続すると言う非人道的ともとれる扱いを施されている。
なお、アイン自身は機体に内蔵されたスピーカーを用いて意志の疎通を図ることが可能で、外部情報も阿頼耶識を通じて取得することができる。良くも悪くも人機一体、アインは完全にグレイズ・アインを構成する"パーツ"と化している。

機体性能と阿頼耶識システム、そしてアインの執念が融合した結果、鉄華団を屠る為のハンティング・マシーンと化した。


【武装】

肩部格納式40mm機関銃

肩部コンテナユニットに搭載された機銃で、グレイズ・アイン唯一の射撃兵装。
格納式とはいえ展開・照準・発砲のプロセスが非常にスムーズで、阿頼耶識システムの恩恵もあって命中精度も高い。
機体本体とは可動式のアームで接続されており、その性質上射角は広く、対人・対モビルワーカー用に使用される他、敵の砲撃を撃ち落とす為にも用いられる。

スクリューパンチ

マニピュレーターを高速回転させて敵を殴りつける格闘用装備。
グレイズの構造を踏襲しながらも格闘用に設計されたマニピュレーターは、スクリューパンチ使用時に関節がロックされる機構が備わっているが、モビルスーツにとってデリケートな部位でもある為、これが使われるのは武器を全て喪失した後であると言える。

ドリルキック

人機一体からなる挙動の柔軟さを格闘戦で活かす為、脚部には爪状の接地部分をコーン型に変形・高速回転させる事で蹴りに掘削機能を追加する機構が備わっている。
その高速回転と突き出されるように放たれた蹴りのエネルギーから来る一撃は敵の装甲を抉り、更に内部構造すらも破壊する。
また、フレームが延長されている事もあってリーチに優れ、その有用性の高さを示した。

パイルバンカー

腕部に装備された使い捨ての武装であり、使用後はユニットごとパージされる。
主にマニピュレーターで敵を押さえ付けた後のダメ押しの一撃として用いられる。
モビルスーツの装甲を貫通するだけの貫通力を持ち、その衝撃力はナノラミネートアーマーを突き破る程。
戦闘に於いてはガンダム・バルバトスのレンチメイスを最も強度のある先端部から破砕して見せた。

専用大型アックス

グレイズ・アインの主兵装。
グレイズのバトルアックスをベースとした対モビルスーツ戦用装備だが、グレイズ・アインのパワーと腕部ストロークを活かす為にバトルアックス以上のサイズと刃渡りを持つ。
強化された腕部出力もあってグレイズ・アインはこれを二振り装備し、それぞれ片腕で振るう事が出来る。
なお、非使用時にはバックパックにマウントされるが、そのマウント部はシュヴァルベ・グレイズのフライトユニットが流用されている。


【原作内での活躍】

エドモントンでの戦闘に於いて、ガエリオ・ボードウィンの乗るガンダム・キマリストルーパーと共に戦線に投入され、流星号や漏影を撃破するなどその性能を遺憾なく発揮し、三日月・オーガスのガンダム・バルバトスをも追い詰めたが、三日月が阿頼耶識システムのリミッターを解除した為に形勢を逆転され、撃破された。

その存在は組織の失墜を招いたが、機体のシステムはパイロットと共にガンダム・ヴィダールの疑似阿頼耶識システムに転用され、機体の設計思想はレギンレイズ・ジュリアの開発に影響を与えている。
また、阿頼耶識システムに関するデータも、マクギリスが自らに阿頼耶識システムを施術する為の礎となった。


【搭乗者】

アイン・ダルトン

CV. 内田 雄馬

グレイズ・アインの生体ユニットと化したギャラルホルンの軍人。

地球軌道に於ける戦闘でガエリオ・ボードウィンを庇って瀕死の重傷を負い、彼の回復を願い奔走するガエリオの努力も虚しく損傷した臓器の機能を機械で補わなければ生きていけない身体となるが、マクギリス・ファリドの説得を受けたガエリオの決断によって禁忌とされる阿頼耶識システムを施術され、専用機であるグレイズ・アインを与えられた上で戦線に復帰。
なお、アイン自身はこの時にガエリオに対して感謝の言葉を述べている。

エドモントンに於いて鉄華団と激闘を繰り広げ、彼らの駆るモビルスーツを次々と圧倒。
遂にはノルバ・シノの駆る流星号の奪還を果たし、エドモントン市街へ向かったクーデリア・藍那・バーンスタインを追撃、それを迎え撃つべく現れた三日月・オーガスのガンダム・バルバトスと刃を交える。
そして、因縁の相手である三日月に対して、かつての上官だったクランク・ゼントへの無念を語りながら死闘を展開。
その反応速度の差で彼を圧倒し追い詰めるが、三日月が自らの肉体への過負荷を無視して強引にバルバトスの阿頼耶識システムを限界まで開放したことで形勢を逆転され、最後はコックピットを太刀で貫かれ戦死した。

しかし、彼の脳髄は極秘裏に回収され、疑似阿頼耶識システムType-Eとしてガンダム・ヴィダールに組み込まれた。

瀕死の肉体を強引に阿頼耶識システムに接続した副作用なのか精神に異常をきたしている節があり、過去の任務を唐突に思い出しクーデリアを確保、殺害しようとするなど錯乱と思わしき言動を取ることもあった。
また、スピーカーを介し激昂している最中もアイン本体は終始虚ろな表情だった。

【原作名台詞】

  • 「本当にありがとうございます。これでクランク二尉の無念を晴らすこともできる。」
    「心から尊敬できる方に人生の中で2人も出会えたなんて、これ以上の幸せはありません。この御恩、この命をもって必ずやお返しします。」
    • 阿頼耶識の施術により一命を取り留めて述べた感謝の言葉。余りにも異様な光景で、ガエリオも相槌を打ちながらもその表情に喜びはなかった。アインが「人間ではなくなってしまった」瞬間だった。

  • 「クランク二尉、やりましたよ!あなたの機体を取り戻しました!」
    「きっと見ていてくれますね。クランク二尉、俺はあなたの遺志を継ぐ。あなたの無念を晴らしあなたの命令を…」
    • ノルバ・シノによって下品な色に塗り替えられ「流星号」となったクランク・ゼントのグレイズをパイルバンカーで破壊した時に発した台詞。

  • 「何てことだ。君の罪は止まらない、加速する!」
    「クランク二尉、このままでは貴方の涙は止まらない。俺はこの戦いをもって、彼を悔い改めさせてみせます!」
    • どう考えても今のアインの姿の方がクランクを悲しませそうなものだが、アインはその事に最後まで気づく事はなかった。
    • このあたりの妙にポエミーな言い回しから、アインは復讐に囚われなければ本来はロマンチストな人物だったのではないかと言われることも。

  • 「罪深き子供。クランク二尉はお前たちと戦うつもりなどなかった!お前たちを救うつもりでいたのに、その慈悲深き思いがなぜ伝わらない!?」
    • クランクを介錯した三日月に言い放った台詞。三日月は「あのおっさんは自分で死にたがってたよ」と真実を告げるが、復讐鬼と化したアインに届くはずもなく…
    • 辛辣な言い方だが、アインよりも三日月の方がクランクの真意を察していたのはなんとも皮肉な話である。

  • 「もう貴様は救えない…その身にこびり付いた罪の穢れは、決して救えない!貴様も、あの女も!貴様の仲間も!決して!貴様の…貴様らの死をもって、罪を払う!」
    • 三日月を追い詰めながら。この言葉が「それを決めていいのはお前じゃないんだよ…」と三日月の闘志に火を付け…

  • 「この…化け物がぁぁぁぁ!!」
    • グレイズ・アインの腕部装甲をフレームごと太刀で切断したバルバトスに対して発した台詞だが、三日月から「お前にだけは言われたくないよ」と返される。

  • 「クランク二尉!ボードウィン特務三佐!私は、私の正し…」
    • 断末魔。両腕を失いなおも自分の想いを叫ぶアインだが、三日月によってコックピットブロックを太刀で貫かれ戦死する。


【ゲーム内での活躍】

EXVS.2

ボス機体として参戦。
ボスの中ではかなり小柄だが、その分機動力が凄まじい上にヒットストップが無いため、こちらの射撃攻撃を受けながらも格闘攻撃を仕掛けてくる。
前述の設定が設定なだけにグロ過ぎると判断されたのか、パイロットグラフィック&覚醒カットインが存在せず、おまけにパイロット名も明記されていない(但し台詞もといボイスはしっかり搭載されている)。


【その他の活躍】

SDガンダムGジェネレーションクロスレイズ

本作でも参戦。シュヴァルべ・グレイズ(アイン機)から開発可能。
真価を発揮するにはアビリティ「阿頼耶識(生体ユニット)」が必要。このアビリティはエンディング後に解禁される高難易度モードでしか入手出来ない。
肝心のアインは火星支部所属時代しかスカウト出来ないので当然所持していない。グラフィックは変わらないが、原作再現をして自軍で活躍させたければプレイヤーの手で五体満足のアインを生体ユニットにしなければならない。まさに外道
基礎性能などは悪くは無いので原作再現やシナジーを諦めて普通の格闘機として運用するのも手。というか人道的な意味でもその方がいい

DLCのシスクード&シグ・ウェドナー(Gジェネレーション モノアイガンダムズの主人公)がアインと戦うとなぜか特殊セリフが入る。そっちのアイン(同じくGジェネレーション モノアイガンダムズに登場したシグの運命を狂わせた因縁の敵)じゃないぞ

グレイズ・アイン状態のアインは敵専用キャラとして登場。やはりグロテスクだったのか、こちらでは機体のバストアップがパイロットグラフィックとして採用されている。あの姿でハイテンションで喋る様子は何とも不気味。
常時強気以上のテンション補正とアビリティにより大ダメージを叩き込んでくる強敵。三日月で相手をすると原作再現イベントが多く発生し、三日月もパワーアップする。


【余談】

ガンダム作品では実在する都市や地方が物語の舞台に使われており、グレイズ・アインとの決戦の場になったエドモントンもカナダのアルバータ州に存在する都市である。
鉄血の放送終了後、カナダの地元紙が『Edmonton smashed by robots(エドモントンがロボットに襲われた)』という見出しでガンダム作品の舞台に使われた事を一面に掲載。「カナダがガンダムの舞台になった」「アニメは国境を越える」と地元民も歓喜していたそうだ。

本来ならアインは序盤で退場する予定だったが、長井龍雪監督が内田氏の熱演に感銘を受けてレギュラー化が決定した経緯を持つ。
しかし、出番が増えた結果、上記のように悲惨な結末を迎える事となってしまった。
同じように序盤で退場する予定だったが、スタッフの間で人気が出た事により出番を増やした結果、不死身となり最後には幸せを掴んだパトリック・コーラサワーと対照的といえる。

また、アインのキャラクターデザインは三日月のデザインの没案の一つだったりする。


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最終更新:2023年04月28日 22:54
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*1 その場に居合わせた味方であるはずのギャラルホルンの兵士達をして「悪魔」と言わしめた程

*2 逆説的に解けば、これ程までに極端な改修を許容出来るグレイズ・フレームの拡張性の高さを物語る例の一つであると言える

*3 正確には胸から下の下半身が除去され、そこと前腕のみで固定設置された状態