海の家

施設アイドレス

L:海の家 = {

 t:名称 = 海の家(施設)

 t:要点 = のぼり,平屋,バイトのおねーちゃん

 t:周辺環境 = 海辺

 

 青い海、白い砂浜、輝く太陽。

 風光明媚な【海辺】にたなびく【のぼり】の先に。

 メニュー各種を貼った【平屋】の施設に、呼び込みをしている【バイトのねーちゃん】。

 おいでませ、海の家『るる家』へ。今日も元気に営業中!

 

http://punkstrpg.sakura.ne.jp/ragen=idress/ragen=Ygdrasil/Box/uminoie/SeasideCottage.jpg?lightbox=c.jpg

(◆クリックで原寸大に表示します)

 

 ――さて、誠に唐突でイカんではあるが、現在羅幻王国ではイカがフィーバーしていた。

 

 事の起こりは2ヶ月前、通称『うみねこヶ浜』で体長2mほど、人間サイズの巨大烏賊が極稀な頻度ではあるが度々出現し始めたのである。

 何ぞ知性があるらしく、黒いビキニとパレオ(どうやら女性(?)らしい)を着けて、定期的に砂浜のゴミ拾いをしたり、おぼれた猫を助けたり、女性にしつこく絡むナンパ男を成敗したりと、何気に立派なライフセイバーなイカさんであった。

 それに意気を感じた藩国政庁は、彼女(?)へのお礼代わりに【海辺】を整備し、商人たちは様々な方法でイカさんをプロデュースし始めたのである……。

 

 ――その結果、当の本人(本烏賊?)を尻目に今や海岸は海の家が建ち並ぶ海水浴場に変貌。イカさんは『アイドル』もかくやの大人気になってしまった。

 逆に騒がしくなって迷惑じゃなイカ? と思われたが、何やらイカさんと分かり合えた摂政(触手と人差し指をつつき合ってた)によると『むしろ水着姿の若い男が沢山見れてウハウハ(キリッ』との事(……)で、世にも奇妙な共存関係が成立したのであった――

 

 ――そして、ここに。仕事にあぶれたアイドルが一人。

 羽川明日子。

 歌って踊れて企画も営業もマーケティングリサーチも出来る商人系アイドルである。

 しかし今はイカさんブームの流れに乗って、海の家『るる家』を経営・プロデュースする【バイトのねーちゃん】であった。

 バイトの癖にオーナーを差し置いてる辺り何かおかしいが、それはそれとしてこの場にいるのは、決してイカさんに人気を奪われたからではない。

 

 その店舗運営は『伸びたラーメンと粉っぽいカレーと具の少ない焼きそば』の3種の神器を、高名な料理家を呼んで『至高と究極の味』に仕上げると共にその過程をイベント化するという、どっかの週刊マンガ雑誌で見たようなヒドい、いや目を見張る経営手腕であった。

 ……商業の民はアイドルであろうとうら若き乙女であろうとすべからく営業マンなのである。

 本当は自分自身のプロデュースをした方が良いんじゃなイカと思わないでもない。アイドルの仕事はどうした。むしろ横道に逸れてばかりいるからBきゅ――(イカ検閲されました)

 

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「商売繁盛、笹持って来ーい☆」

「ちょっと、お待ちなさい! なぜわたくしが【バイトのねーちゃん】なんですの!?」

 羽川の掛け声に厳しいツッコミが入る。【バイトのねーちゃん】――もとい、金髪縦ロールの水着美女の名はリリィフェル・マイルフィック。

 元アイドルにして彼女の元同僚。現いくつかの企業を経営する女会社社長であった。

 ほとんど紐なエロ水着なのは相変わらずであったが。

 

「アンタが安値で自分トコの水着の店プロデュースしたい言うたからやろ。ご自慢の水着とゴイスーなバディを魅せるエエ機会やないの」

「ふっ、セクシィーっ、アーンド、エクゾチィーック! わたくしのエレガントなビューティフルバデーを、愚民のみなさまへ存分にご披露致しますわ!」

 ドヤ顔でモデルポーズを決めるリリィだが、『るる家』の宣伝が入った【のぼり】を掲げている時点で色々台無しである。

 自己ブランドの水着を海の家で展示したら売れるんじゃないかと思ったリリィが、元同僚のよしみで羽川明日子の店舗の一部をブースレンタルしたまでは良かったが、商売人としては一枚上手の羽川が実質リリィをコキ使ってる様な物であった。

 

 確かに『るる家』には、リリィがプロデュースする水着ブランド『金髪縦ロール』の水着も(設置料タダ同然で)展示販売されてはいるのだが、デザインが『アレ』過ぎて売れ行きが良いかどうかは微妙な所である……。

 

「ほら、お客さん着たで」

「いらっしゃいませー『るる家』へようこそ! って、イカさん!?」

「おや、ホンマやめずらし。何ぞ御用でっかー?」

 

 ぬめぬめぬめ。

 そこには黒いビキニとパレオを着けた巨大烏賊がいた。海岸名物のイカさんである。

 

 ぬめぬめぬめ。

「なになに? この水着は公共良俗にふさわしくないですって? 何て事をおっしゃるのかしら、この海生軟体動物は!」

「むしろ、何で細かい意思疎通が出来てるのかツッコミたいんやけど」

 

 ぬめぬめぬめ。

「なになに? 肌の美しさなら負けていない、ですって? わたくしのエスクタシー・スキンに喧嘩を売っていますのね!」

「美白肌やもんなぁ、ヌメヌメやけど」

 

(なおこの後、水着を取りそうになったり取られそうになったり、ぬるぬるぐにょぐにょ組んずほぐれずのキャットファイトの結果、28分30秒両者気絶ノックアウトの引き分けに終わった)

 

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 海の家(うみのいえ)とは、海水浴場で海水浴客の便宜を有料で提供する店舗小屋である。

 海水浴のシーズンと共に仮設の小屋を建てて営業を行うのがNWでは一般的ではあるが、ここの羅幻王国では温暖な気候からフルシーズンで営業されている。

 

 軽食などの提供を行うと共に、水着や浮き輪等、関連グッズや、更衣室・休憩場所・シャワーなど海水浴に必要な便宜を図り、施設利用料を徴収する店舗が多い。

 

#店舗施設例

 

■海の家『るる家』

●設備

 ・シャワー:男性用12・女性用16・猫士用8機(※シャンプー・ボディソープ完備)

 ・更衣室:男性用・女性用・猫士用

 ・ロッカー:80機

 ・テーブル:60席・お座敷12席

 

●ご利用料金

 ・お座敷ご利用:大人16にゃんにゃん・子供8にゃんにゃん(シャワー使い放題・ロッカー出し入れ自由)

 ・シャワーのみ:大人8にゃんにゃん・子供4にゃんにゃん(一回)

 ・ロッカーのみ:8にゃんにゃん(1日出し入れ自由)

 ・各種レンタル(バーべキュー台(炭・トング付き)・ビーチパラソル・ゴムボート・ボディーボード・スキューバ用品)

 ・各種販売(花火(バケツ付き)・水着各種・浮き袋(イカさん・熊の親戚)・ビーチサンダル・水蜘蛛・10フィートの捧(西瓜割り等、用途各種))

 ・水着ブランド『金髪縦ロール』展示販売

 

●メニュー

 ・『至高の』伸びたラーメン

 ・『究極の』粉っぽいカレー

 ・『鉄鍋の』具の少ない焼きそば

 

 ・カキ氷(レモン・ストロベリー・ブルーハワイ・宇治金時・ベマーラなど)

 ・フランクフルト(チーズ・ハーブ・スパイシー・超辛)

 ・うどん(本場羅幻饂飩・やわらか生醤油・味噌煮込)

 ・焼き鳥(ネギま・ささみ・レバー・手羽先・砂肝・かわ・ハツ・せせり・ぼんじり)

 ・スパムサンド(クラシック・チーズ・ベーコンレタス・スパイシー・超辛)

 ・お好み焼き(肉・タコ・モダン・すじこん・ミックス)

#(なお、この国のお好み焼きやもんじゃ等の具財のイカは『全てタコ』に変わっていた。好意が不器用な国民性である……)

 

 ・ビール各種(生・ドライ・ギ○ス・コ○ナ・人狼・エール・ヒューガルデンホワイト・など)

 ・チューハイ(レモン・ライム・ライチ・グレープ・パイナップル・ベマーラ・黄金の蜂蜜酒など)

 ・ぱんくす牛乳(普通・ノンファット・コーヒー・フルーツ)

 ・ソフトドリンク(コーヒー・コーラ・サイダー・スポーツドリンク・緑茶・烏龍茶・ジャスミン茶など)

 ・ゲボボドリンク(サス○・ネー○ン・メッ○ール・バオ○ブ・モン○ラン・紫蘇ソーダ)

 

●所在地

 羅幻王国王都烏賊天市うみねこヶ浜888番地

 お問い合わせ:***-479-12643

 アクセス:藩国駅ビルより徒歩30分。または、藩国警察より徒歩30分。

      乗用鶏乗り場:うみねこヶ浜停留所より徒歩3分。

      海岸に出るとすぐに『るる家』の【のぼり】が立っています。

 

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 そんなわけで(?)。

 

「商売繁盛、笹持って来ーい☆」

「ブリリアーントっ、エクゾチィーック!」

(うねうねうねうね♪)

 このヘンなナマモノ(たち)は今日も羅幻王国の【海辺】にいるのです。ワリと。

 

(イラスト:ぱんくす)

(テキスト:蓮田屋藤乃)

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最終更新:2016年01月12日 14:56