IDdata | |
Name | 世都母 比良坂(よつも ひらさか) |
Alias | 【パラダイムフィクサー(模範的調停)】 |
Class | サイキッカー&トランスジェニック |
Money | 32,445,934,608,000W¢ |
OOPARTS | |
Link | ライザーインダストリー所属 |
Age | 実年齢85 外見年齢22 |
職業 | ライザーインダストリーCKO |
トランキライザー学園経済学経営学全般講師 | |
人種 | 日系露人 |
所在地 | セントラルピラー宿舎 |
PROFILE
第一次非核大戦の最中、最前線の激戦区として在った日本国は、開戦二年目にして陥落、その後、経済の建て直しも不可能となり、国家は完全に解体した。
日本国籍を失った日本人は、その人権も同時に失い。日本列島を食い物にしようと群がる犯罪組織、企業家、国家などが流入し、人身売買、臓器密売など、あらゆる犯罪の温床となった。
そうして日本人は、住む土地を失い。各地へ散って行ったのだ。
日本国籍を失った日本人は、その人権も同時に失い。日本列島を食い物にしようと群がる犯罪組織、企業家、国家などが流入し、人身売買、臓器密売など、あらゆる犯罪の温床となった。
そうして日本人は、住む土地を失い。各地へ散って行ったのだ。
比良坂もそんな中の一人だった。
彼を拉致したのは、ユーラシア大陸に存在したかつての大国ロシア連邦、ロシアは戦時に確立した多くの技術を人体実験により実践に移す段階に至り、人権を失った日本人に目を付けたのだ。
もっとも、それほど珍しいことではない。この時代、誰の目にも狂気が渦巻いていた。日常に蔓延した死が、彼らの感覚を麻痺させていたのだ。
ロシアで推進されていた計画は二つ、一つは、現在のトランスジェニック技術の先駆けである生物の因子を遺伝子に組み込み、超人を作りだそうと考えられた〝サイバーシン計画〟、もう一つは、サイバネティクス、ナノテクノロジー、バイオニクスを結集し、肉体を機械化した特殊兵部隊を作り出そうと考える〝マシンナーズプラトゥーン計画〟である。
比良坂は、前者の〝サイバーシン計画〟の初期実験体としてロシアに居た。西暦二〇五八年のことだ。
彼を拉致したのは、ユーラシア大陸に存在したかつての大国ロシア連邦、ロシアは戦時に確立した多くの技術を人体実験により実践に移す段階に至り、人権を失った日本人に目を付けたのだ。
もっとも、それほど珍しいことではない。この時代、誰の目にも狂気が渦巻いていた。日常に蔓延した死が、彼らの感覚を麻痺させていたのだ。
ロシアで推進されていた計画は二つ、一つは、現在のトランスジェニック技術の先駆けである生物の因子を遺伝子に組み込み、超人を作りだそうと考えられた〝サイバーシン計画〟、もう一つは、サイバネティクス、ナノテクノロジー、バイオニクスを結集し、肉体を機械化した特殊兵部隊を作り出そうと考える〝マシンナーズプラトゥーン計画〟である。
比良坂は、前者の〝サイバーシン計画〟の初期実験体としてロシアに居た。西暦二〇五八年のことだ。
当初、技術的に完成の域に達していた機械化は、人体実験の素材を得たことで急激に躍進、わずか一年で〝マシンナーズプラトゥーン計画〟は成功を収めたが、実際には、改造後のメンテナンスや換装の問題など、部隊として動くには整備班を同行させる必要があり、小隊としての長所はないに等しく、コストパフォーマンスも現実的ではないとして計画は一時凍結された。
そんな最中に在って、国家の期待を集めたのが〝サイバーシン計画〟である。
この計画は、生物因子を組み込み、DNA配列を操作する。その変更箇所さえ解明されれば、組み込むことは容易く、費用も機械に比べてはるかにリーズナブルだった。
なにより、メンテナンスの必要性がないことが期待された要因である。
もっとも、聞こえるほど順調というわけでもなかった。完成した被験体は、そのどれもが短命だったのだ。
大抵の者は、因子の強さに耐えられずに絶命するか、投与因子の性質に引きづられて精神を崩壊させるかのどちらかだった。実験から丸二年、開戦から四年が経過し、解ったことは、完璧な適合率をたたき出さない限り、寿命は長くて三年という事実だった。
だが、事ここに至り、ロシアは止まることが出来なかったのだろう。
〝サイバーシン計画〟は、更なる実験拡大を決定し、また多くの日本人がロシアの地を踏んだ。強制的な入国ではあったが。
それから更に一年、多くの実験体が死に逝く中で、一体の経過観察段階の対象が、第一号実験適合生体と認定される。
全九百八十種にも及ぶ蝙蝠因子と狼因子を含み、寿命拡張のため、DNAキャップに細工された異物の名を比良坂と云った。
この成果に狂喜した研究者たちは、更なる適合体製造のためのプランを練った。比良坂は、適合生体として、三ヶ月を研究施設で過ごすが、その後、ロシア国籍を与えられ、二年前に完成していた日本人だった機械化人間と共に、戦場へと送られる。
その後、一年の後に戦争は終結、だが、国家は戦争で得た技術発展に躍起となり、結局にして多くの軍事計画が実践された。
そんな最中に在って、国家の期待を集めたのが〝サイバーシン計画〟である。
この計画は、生物因子を組み込み、DNA配列を操作する。その変更箇所さえ解明されれば、組み込むことは容易く、費用も機械に比べてはるかにリーズナブルだった。
なにより、メンテナンスの必要性がないことが期待された要因である。
もっとも、聞こえるほど順調というわけでもなかった。完成した被験体は、そのどれもが短命だったのだ。
大抵の者は、因子の強さに耐えられずに絶命するか、投与因子の性質に引きづられて精神を崩壊させるかのどちらかだった。実験から丸二年、開戦から四年が経過し、解ったことは、完璧な適合率をたたき出さない限り、寿命は長くて三年という事実だった。
だが、事ここに至り、ロシアは止まることが出来なかったのだろう。
〝サイバーシン計画〟は、更なる実験拡大を決定し、また多くの日本人がロシアの地を踏んだ。強制的な入国ではあったが。
それから更に一年、多くの実験体が死に逝く中で、一体の経過観察段階の対象が、第一号実験適合生体と認定される。
全九百八十種にも及ぶ蝙蝠因子と狼因子を含み、寿命拡張のため、DNAキャップに細工された異物の名を比良坂と云った。
この成果に狂喜した研究者たちは、更なる適合体製造のためのプランを練った。比良坂は、適合生体として、三ヶ月を研究施設で過ごすが、その後、ロシア国籍を与えられ、二年前に完成していた日本人だった機械化人間と共に、戦場へと送られる。
その後、一年の後に戦争は終結、だが、国家は戦争で得た技術発展に躍起となり、結局にして多くの軍事計画が実践された。
それから四年後、企業体が国に変わった枠組みとして名乗りを挙げ、更に一年の後にロシアは解体された。
比良坂は、彼の後に作られた〝サイバーシン〟の落とし子と、戦友たる機械化兵たちを連れてロシアという枠組みから逃亡、その後、世界を転々とするも、多くの仲間が日本列島に帰還したことで、彼もそれらの何名かと同行し、一時帰島を果たした。
比良坂は、彼の後に作られた〝サイバーシン〟の落とし子と、戦友たる機械化兵たちを連れてロシアという枠組みから逃亡、その後、世界を転々とするも、多くの仲間が日本列島に帰還したことで、彼もそれらの何名かと同行し、一時帰島を果たした。
それからは、世界の企業体を相手にあらゆる仕事を請負って過ごした。特に、機械化兵は強力だが、メンテナンスなしには生きられない身体だ。一刻も速く、仮初でもいいから安住の地が欲しかった。
そうして我武者羅に生き抜く中で、多くの仲間が逝き、また多くが離反した。自分には指導者としての才能が欠片もない。そんなことは百も承知だったが、彼らを他人に任せて引き下がれる道理も、また存在しなかった。
だからこそ奔り続けた。そうして比良坂は、一人の男と出会う。男は、新たに作られた秩序を統括する黄道十二宮の一つ、ライザーインダストリーの最高責任者たるCEOだった。
男は、比良坂たちを拾った。長らく生きてきた彼らの経験や知識を有益と考えたのだろう。比良坂たちにとっても、またとない申し出だった。
彼らに選択の余地はなく、二つ返事で承諾した。
だが、下に付いてみれば、待遇も悪くない。過酷な仕事もあったが、その分報酬も色が付き、使い捨てられるような気配もない。
ライザーのCEOは、誠意に対して誠意で返す、今時の経営者としては異常なまでに変り者だったのだ。
だが、だからこそ比良坂を含めた多くの仲間たちは、ライザーに帰属しようと考え始めていた。
その後、離反して世界へ散り散りとなった仲間を一人でも多く助けたいという比良坂の要請をCEOが受諾する形で、すべてとはいかなかったが、わずかに四分の一の者が、同胞の許に帰った。
その後、比良坂は、受けた恩に報いる意味でも、ライザーへの忠誠を心から誓ったという。
そうして我武者羅に生き抜く中で、多くの仲間が逝き、また多くが離反した。自分には指導者としての才能が欠片もない。そんなことは百も承知だったが、彼らを他人に任せて引き下がれる道理も、また存在しなかった。
だからこそ奔り続けた。そうして比良坂は、一人の男と出会う。男は、新たに作られた秩序を統括する黄道十二宮の一つ、ライザーインダストリーの最高責任者たるCEOだった。
男は、比良坂たちを拾った。長らく生きてきた彼らの経験や知識を有益と考えたのだろう。比良坂たちにとっても、またとない申し出だった。
彼らに選択の余地はなく、二つ返事で承諾した。
だが、下に付いてみれば、待遇も悪くない。過酷な仕事もあったが、その分報酬も色が付き、使い捨てられるような気配もない。
ライザーのCEOは、誠意に対して誠意で返す、今時の経営者としては異常なまでに変り者だったのだ。
だが、だからこそ比良坂を含めた多くの仲間たちは、ライザーに帰属しようと考え始めていた。
その後、離反して世界へ散り散りとなった仲間を一人でも多く助けたいという比良坂の要請をCEOが受諾する形で、すべてとはいかなかったが、わずかに四分の一の者が、同胞の許に帰った。
その後、比良坂は、受けた恩に報いる意味でも、ライザーへの忠誠を心から誓ったという。
それから比良坂は、無法地帯と化していた日本列島を現地の有力者数名(ヤクザ紛いの連中だが)から、総額四十兆W¢で購入、名称をライザーアイランドと改め、その地にライザーの新本社と、人材育成を目的とした学園都市開発計画の指揮を執った。
学園都市は、当時の首都である東京が在った土地を建設予定地として着工され、本社は、当初大阪と呼ばれた土地に建てられる予定であったが、大阪を拠点として京都、奈良、兵庫、和歌山、滋賀、三重を統治し、構成員三百万を擁する広域暴力団組織〝病葉古鉄会〟が、この買収計画を是とすることなく、「金で故郷は売れない」として頑なに拒んだため、本社移転計画は名古屋と呼ばれた土地へと移された。
余談だが、古鉄会が治める七府県は、ライザーの目が届かない無法地帯の中で、もっとも安全が約束された最後の日本だという。
暴力団が、その治安を護っているのだから、皮肉な話ではあったが、彼らの一本筋をとおす姿勢は、比良坂をしてヤクザではなく、正しく〝侠客〟と言わしめたほどだ。
この土地は、現在もライザーの手が届かぬ治外法権として存在し、その治世は十代目総代である病葉双樹によって治められている。
学園都市は、当時の首都である東京が在った土地を建設予定地として着工され、本社は、当初大阪と呼ばれた土地に建てられる予定であったが、大阪を拠点として京都、奈良、兵庫、和歌山、滋賀、三重を統治し、構成員三百万を擁する広域暴力団組織〝病葉古鉄会〟が、この買収計画を是とすることなく、「金で故郷は売れない」として頑なに拒んだため、本社移転計画は名古屋と呼ばれた土地へと移された。
余談だが、古鉄会が治める七府県は、ライザーの目が届かない無法地帯の中で、もっとも安全が約束された最後の日本だという。
暴力団が、その治安を護っているのだから、皮肉な話ではあったが、彼らの一本筋をとおす姿勢は、比良坂をしてヤクザではなく、正しく〝侠客〟と言わしめたほどだ。
この土地は、現在もライザーの手が届かぬ治外法権として存在し、その治世は十代目総代である病葉双樹によって治められている。
その後、比良坂は着実な工事計画の進行に合わせて、ある少女と出合った。少女の名は、朝霧沙鳥、なかなかに鮮烈な出会いであったことを今でも覚えている。
幾つかの紆余曲折を乗り越え、結局にして、比良坂は彼女の後見人になった。そうして完成した学園に、彼女と彼女の友人を入学させたのだ。
幾つかの紆余曲折を乗り越え、結局にして、比良坂は彼女の後見人になった。そうして完成した学園に、彼女と彼女の友人を入学させたのだ。
比良坂という名前は本名のようだが、世都母という苗字は、どうやら偽名らしい。
これは、かつて同じように日本から拉致されてきた仲間たち、そして〝サイバーシン計画〟で無残にも命を落とした友、世砥野、都拿、母髪の苗字の頭文字をとって世都母と名乗っているという。それ以前の本名は不明だが、ロシア国籍ではミハイル・アレンスキーという名前を一応ながら持っている。
純日系であるが、ロシアが自国の軍部に組み込むために国籍が与えられ、日系露人となった。
これは、かつて同じように日本から拉致されてきた仲間たち、そして〝サイバーシン計画〟で無残にも命を落とした友、世砥野、都拿、母髪の苗字の頭文字をとって世都母と名乗っているという。それ以前の本名は不明だが、ロシア国籍ではミハイル・アレンスキーという名前を一応ながら持っている。
純日系であるが、ロシアが自国の軍部に組み込むために国籍が与えられ、日系露人となった。
実験初期適合生体としての欠陥を多く抱えており、特に翼種目の因子傾倒異常が強く、好血症を発生している。
また、比良坂はDNAキャップを改変することで、肉体的な老化の進行は停止しているが、実際には寿命が削られており、若い容姿に反して実年齢のとおりに死期が近づいている。
実験処置を受けたのが、今から六十六年前、当時十九歳であったため、現在の年齢は八十五歳となる。
本来、技術の発展により都市の平均寿命は上昇しているが、それでも、こういった技術の停滞した難民の町では、その寿命も必然的に短くなる。
それを思うと、拉致されずに日本へ留まっていれば、こんな長命は在り得なかっただろうし、八十五年は大往生だと考えているようだ。
しかし、死後に残すことになる存在、後見人として見守ってきた少女、恩人の子供たち、そしてかつての仲間、どれを考えても先行きの不透明さが不安を呼ぶ。
それだけが、現世の心残りだ。
トランキライザー学園都市最高峰の医師であるルーテシア・イリス・ファンハートの診断によれば、二年から、長くとも五年の後に死去するだろうと告げられている。
また、比良坂はDNAキャップを改変することで、肉体的な老化の進行は停止しているが、実際には寿命が削られており、若い容姿に反して実年齢のとおりに死期が近づいている。
実験処置を受けたのが、今から六十六年前、当時十九歳であったため、現在の年齢は八十五歳となる。
本来、技術の発展により都市の平均寿命は上昇しているが、それでも、こういった技術の停滞した難民の町では、その寿命も必然的に短くなる。
それを思うと、拉致されずに日本へ留まっていれば、こんな長命は在り得なかっただろうし、八十五年は大往生だと考えているようだ。
しかし、死後に残すことになる存在、後見人として見守ってきた少女、恩人の子供たち、そしてかつての仲間、どれを考えても先行きの不透明さが不安を呼ぶ。
それだけが、現世の心残りだ。
トランキライザー学園都市最高峰の医師であるルーテシア・イリス・ファンハートの診断によれば、二年から、長くとも五年の後に死去するだろうと告げられている。
ABILITY
比良坂は、トランスジェニックであると同時に先天的サイキッカーでもある。
しかし、どうやらサイキッカーとしての実力は、能力の有用性を含めて、それほど優秀ではないようだ。
しかし、どうやらサイキッカーとしての実力は、能力の有用性を含めて、それほど優秀ではないようだ。
サイコキネシス(念力)の一種として、重力を操作する能力を持つ。
そもそも重力とは、一般相対性理論により、時空の曲率の時間変動が、波動として光速で伝播する現象と説明できる。
比良坂の持つ能力は、これの方向性を弄るものであり、加重を操作するものではない。
そのため、地球に存在している1G状態を変更することはできない。
彼に可能なのは、自分自身にかかる重力の方向性を操作することであり、簡単に言えば、自分にとっての地面の位置を変更することだ。
この能力を駆使することで、壁を歩く、天井に座るということが可能になる。
基本的に自分自身にのみ効果を及ぼす能力だが、身体の一部が触れ合っている状態であれば、他者に対しても地面の位置関係を変更することができる。
移動法としては優れているかもしれないが、直接的に戦闘行為を有利にする能力ではない。
数少ない利点の一つとして、精神力の消費が少なく、連続使用が可能な点が挙げられる。
そもそも重力とは、一般相対性理論により、時空の曲率の時間変動が、波動として光速で伝播する現象と説明できる。
比良坂の持つ能力は、これの方向性を弄るものであり、加重を操作するものではない。
そのため、地球に存在している1G状態を変更することはできない。
彼に可能なのは、自分自身にかかる重力の方向性を操作することであり、簡単に言えば、自分にとっての地面の位置を変更することだ。
この能力を駆使することで、壁を歩く、天井に座るということが可能になる。
基本的に自分自身にのみ効果を及ぼす能力だが、身体の一部が触れ合っている状態であれば、他者に対しても地面の位置関係を変更することができる。
移動法としては優れているかもしれないが、直接的に戦闘行為を有利にする能力ではない。
数少ない利点の一つとして、精神力の消費が少なく、連続使用が可能な点が挙げられる。
余談だが、比良坂の能力に特別な呼び名が存在しないことには、一応の意味がある。
サイキッカーは、能力に名前をつけないことが多いのだ。
理由としては、効果として単純な能力が一般的であり、名付けても意味がないからである。恰好に拘らなければ、特別に名付ける意味もない。
更に、名前を付けることで得られるメリットもないとくれば、特別に名付ける者が少ないのも頷ける。
だが、根本的に同じ超能力で在るにも関わらず、巧みに二種以上の用途で使い分けられるような器用なサイキッカーに関しては、それぞれの能力を区別する意味でも、名称を付ける者がいるようだ。
ただし、使い手本人は、名称などなくとも区別できるのだから、結局恰好の問題とも言えるが。例としては、佐伯裕太の超能力が根本同一で在りながら、二種の用途を持ち、呼び名もそれぞれに存在する。
サイキッカーは、能力に名前をつけないことが多いのだ。
理由としては、効果として単純な能力が一般的であり、名付けても意味がないからである。恰好に拘らなければ、特別に名付ける意味もない。
更に、名前を付けることで得られるメリットもないとくれば、特別に名付ける者が少ないのも頷ける。
だが、根本的に同じ超能力で在るにも関わらず、巧みに二種以上の用途で使い分けられるような器用なサイキッカーに関しては、それぞれの能力を区別する意味でも、名称を付ける者がいるようだ。
ただし、使い手本人は、名称などなくとも区別できるのだから、結局恰好の問題とも言えるが。例としては、佐伯裕太の超能力が根本同一で在りながら、二種の用途を持ち、呼び名もそれぞれに存在する。
翻って、ミスティックは、能力に名前を付けることを重要視する傾向がある。
これは、単に嗜好の問題ではなく、ミスティックの能力は、名付けることでより己の力を理解し易くなり、尚且つ名前を固定する行為は、名称から能力に関する想像力を豊かにし、固有能力としての精度を向上させる働きもある。
名付けることで、オドに満ちるエーテル(マナ)の働きに指向性を持たせる役も担っており、云わば、もっとも金の掛からない安価な安定剤ということだ。
〝ミスティックは名付けることで精度を増す〟とまで云われ、名前を付けて、自分自身の思考と能力への理解を馴染ませるという工程は、意外と重要である。
これは、単に嗜好の問題ではなく、ミスティックの能力は、名付けることでより己の力を理解し易くなり、尚且つ名前を固定する行為は、名称から能力に関する想像力を豊かにし、固有能力としての精度を向上させる働きもある。
名付けることで、オドに満ちるエーテル(マナ)の働きに指向性を持たせる役も担っており、云わば、もっとも金の掛からない安価な安定剤ということだ。
〝ミスティックは名付けることで精度を増す〟とまで云われ、名前を付けて、自分自身の思考と能力への理解を馴染ませるという工程は、意外と重要である。
比良坂は、トランスジェニックとして蝙蝠と狼の因子が組み込まれ、それに則した身体能力と同時に、代償としてそれらの生物が有した欠点も保有している。
蝙蝠の特性である音の反射によって、物体の動きを探る反響定位を駆使する能力を持つ。
普段から超音波を発して周囲を探る癖があるらしい。
超音波を用いる理由として、音とは波長の短い方が情報量を多く伝えるため、高い音ほど有用となり、結果として人の可聴領域以上の音、即ち超音波を好んで用いている。
また、超音波が有用なのは空気中だけに限らない。水中では空気中よりも一層に早く伝達し、その伝達速度は空気中が秒速340mであるのに対し、水中では1500m近くに達する。
更に驚くべきは、土中での伝達速度がこれを更に凌駕する点だろう。
これを用いて、比良坂は大地に超音波を放つことで、学園都市内を観測できる広い眼を有している。
流石に都市を丸ごとカバーするのは不可能だが、一区域を覆う感知網を構築する程度は容易い。(四方の区画のことではなく、二十三区内の一区域という意味)
当然ながら、セントラルピラー内部で知覚できないことは何一つない。
ただし、言葉や音などを聴くことは出来ず、物体の形状を感知する行為であるため、正確に象を結ぶことはない。そのため、そもそも知らない人間や物体に関しては、形が解っても内容を理解できないことがあるようだ。
蝙蝠の特性である音の反射によって、物体の動きを探る反響定位を駆使する能力を持つ。
普段から超音波を発して周囲を探る癖があるらしい。
超音波を用いる理由として、音とは波長の短い方が情報量を多く伝えるため、高い音ほど有用となり、結果として人の可聴領域以上の音、即ち超音波を好んで用いている。
また、超音波が有用なのは空気中だけに限らない。水中では空気中よりも一層に早く伝達し、その伝達速度は空気中が秒速340mであるのに対し、水中では1500m近くに達する。
更に驚くべきは、土中での伝達速度がこれを更に凌駕する点だろう。
これを用いて、比良坂は大地に超音波を放つことで、学園都市内を観測できる広い眼を有している。
流石に都市を丸ごとカバーするのは不可能だが、一区域を覆う感知網を構築する程度は容易い。(四方の区画のことではなく、二十三区内の一区域という意味)
当然ながら、セントラルピラー内部で知覚できないことは何一つない。
ただし、言葉や音などを聴くことは出来ず、物体の形状を感知する行為であるため、正確に象を結ぶことはない。そのため、そもそも知らない人間や物体に関しては、形が解っても内容を理解できないことがあるようだ。
蝙蝠の特性故に夜行性であり、日中の時間帯に行動することを苦手としている。
また、吸血蝙蝠を含む因子が体内に存在しているため、好血症を発病しており、定期的に血を吸う必要に迫られている。
更に、これも同じく蝙蝠の因子が及ぼした影響として、恐水症も併発しており、水を恐れる体質である。そのため、真水に触れることも飲むこともできない。
基本的に色の付いた物ならば問題ないらしく、コーヒー、紅茶、酒類などを愛飲している。
また、吸血蝙蝠を含む因子が体内に存在しているため、好血症を発病しており、定期的に血を吸う必要に迫られている。
更に、これも同じく蝙蝠の因子が及ぼした影響として、恐水症も併発しており、水を恐れる体質である。そのため、真水に触れることも飲むこともできない。
基本的に色の付いた物ならば問題ないらしく、コーヒー、紅茶、酒類などを愛飲している。
狼の因子保有の特徴として、全速力で走った際の最高速度は七十キロに到達する。
更に、その状態を二十分間維持することが可能であり、時速を三十キロ前後まで落とせば、一晩中走り回ることも可能だ。
また、人間の数千倍もの嗅覚を有する。
だが、それが原因でニンニクなどの臭いがキツイ食物は口にできない。
動体視力も優れているため、集中すれば世界の動きがコマ送りに見えるくらいの能力を持つが、翻ってイヌ科の特徴を正確に受け継いだがために、その視界は二色型色覚であり、人間が持つ三色型色覚(光の三原色すべてを理解できる目)を有さない。
比良坂の場合は、イヌ科と同じく赤色の色覚異常が現れており、赤色という色彩が理解できないようで、彼の目には赤が黒に見えている。
そのため、自身が飲む血液の色が赤だと知識では知っていても、実際に眼にしたのは人体実験以前の昔であるため、赤が本来どんな色であるのか理解することができないようだ。
更に、その状態を二十分間維持することが可能であり、時速を三十キロ前後まで落とせば、一晩中走り回ることも可能だ。
また、人間の数千倍もの嗅覚を有する。
だが、それが原因でニンニクなどの臭いがキツイ食物は口にできない。
動体視力も優れているため、集中すれば世界の動きがコマ送りに見えるくらいの能力を持つが、翻ってイヌ科の特徴を正確に受け継いだがために、その視界は二色型色覚であり、人間が持つ三色型色覚(光の三原色すべてを理解できる目)を有さない。
比良坂の場合は、イヌ科と同じく赤色の色覚異常が現れており、赤色という色彩が理解できないようで、彼の目には赤が黒に見えている。
そのため、自身が飲む血液の色が赤だと知識では知っていても、実際に眼にしたのは人体実験以前の昔であるため、赤が本来どんな色であるのか理解することができないようだ。
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