用語解説
地名
陽見市
東京近郊のベッドタウン。中央自動車道と甲州街道が走り、多摩川が流れる。サンゴは田舎だと馬鹿にしていたが、実際には都心まで一時間もかからず、交通機関も整備されている。このため住宅事情が悪く大気汚染や騒音が深刻な都心と比べ環境面ではるかに勝る。
有力な実在の候補地としては東京都日野市。名前が似ているだけでなく、中央自動車道、甲州街道が走り、多摩川が流れている。また実践女子大(劇中では清徳院女子大)や百草園(劇中では野草園)、新王子線(京王線)、日野療護園(ただし劇中とは異なり身体障害者の施設)もある。無論、地図の変更や再配置が行われているのでまったく該当するわけではなくあくまでも架空の街。
有力な実在の候補地としては東京都日野市。名前が似ているだけでなく、中央自動車道、甲州街道が走り、多摩川が流れている。また実践女子大(劇中では清徳院女子大)や百草園(劇中では野草園)、新王子線(京王線)、日野療護園(ただし劇中とは異なり身体障害者の施設)もある。無論、地図の変更や再配置が行われているのでまったく該当するわけではなくあくまでも架空の街。
陽見台
ナオ、サンゴの住まいがある地区。現在も宅地として開発が進められている。
多摩川
古くから江戸の水源として利用された一級河川。生活排水等で汚染が深刻化した時期もあったが現在では大幅に回復している。護岸工事(水害防止のため岸辺をコンクリートで塗り固める)がほとんど行われていない為、豊かな生態系を保つ。劇中でも白鷺が集う緑豊かな場所となっている。
東京北部の荒川と比べ、おとなしく安全な川というイメージが強いが大型台風による氾濫は起きている。
東京北部の荒川と比べ、おとなしく安全な川というイメージが強いが大型台風による氾濫は起きている。
野草園
市役所裏に広がる公園。オープンスペースとして広く市民に解放されている。
塚里の森
乱開発を逃れたいわゆる雑木林。宮崎駿監督の「となりのトトロ」の影響により、環境保護活動が活発となったことで今も数多く残る。
一方で人目につかないため、犯罪や自殺、不法投棄の現場として問題になっている。また、丘陵地帯の特性から貯水池が設けられている。
一方で人目につかないため、犯罪や自殺、不法投棄の現場として問題になっている。また、丘陵地帯の特性から貯水池が設けられている。
精神療養所
東京西部地区は都心に比べ空気が澄んでいるという理由から結核療養施設(サナトリウム)が数多く作られた。戦後、抗生物質により結核患者の数が激減。60年代に入ると「ライシャワー事件」の影響から精神病患者の隔離が行われるようになり、看板の掛け替えが盛んに行われた。精神病患者の長期入院が問題視され、見直しが進められるようになると今度は老人介護施設にかわった。
鳴沢団地跡
住宅事情改善のため、東京近郊には鉄筋コンクリートの集合住宅が多く作られたが、施設の老朽化や利便性(エレベーターなどなく、高齢者には住みづらい)から閉鎖されるものも多い。
再開発地区
在日米軍の駐屯地跡地。東京西部には福生、立川、国立といった場所に米軍基地や関連施設が作られた。日本政府に返還された後も費用面など諸々の事情で再開発が行われない場所もある。
清徳院女子大
90年代以降、都心の中堅大学は地価が安い東京西部に移転を推し進めた。特に京王線沿線には広大な敷地と真新しいキャンパスが建ち並ぶようになっている。
用語
烏
カラスは鳥類の中でも知能に優れている。神の使いとしての役割を担うとされ、日本神話においても神武天皇の東征を助けた八咫烏(やたがらす)に代表されるように信仰の対象となっていた。他方で死の使い、不吉の象徴、黒魔術といった負のイメージも根強い。本来の住処である山を追われて里に下りてきたように考えられているが実際にはより楽にエサを得るために里に進出し数を増やした。この点では人間と変わりがない。現実問題として、集団で生ゴミを漁ることや、人やペットが襲われる被害が深刻。
天狗
天狗は山の神と考えられ、信仰の対象となっている。山を霊地、異界とする山岳信仰と深く結びつくため、絵画では修験者風の装束を纏っている。人里離れた山奥に暮らし、人間とほとんど交流しないが、危害を加えることも稀とされる。天狗に襲われたとされる伝承もほとんどは人間側に問題がある。山岳への人間の進出を戒める存在と考えられている。下級の天狗は烏天狗と呼ばれ、烏との結びつきも強い。
キツネツキ
本来は「狐憑き」とされ、精神異常による錯乱状態あるいは精神病を指す。妖怪や生物そのものを指すことはない。一方で狐憑きはいわゆるシャーマニズムに通じており、憑依によるトランス状態ととらえる向きもある。狐は古来より獣の中でも特に強い霊力を持つとされ神聖視されてきた。ただし、人を導く善なる存在としての白狐(稲荷神社に祀られる)と九尾の狐のような悪狐とまったく相反する属性を持つ。
コックリさん
降霊術の一種とされるコックリさんは漢字にすると「狐狗狸」と書く。呼び出されるのは動物霊とされ、一般には狐とされる。稲荷信仰と密接な関わりを持つ証にコックリさんの紙には必ず鳥居が描かれる。
ヒルコ
プライベートシーンでクルミの周囲に現れる奇妙な生物。頭部と四肢が管のようなものでつながれており五角形を成す。ヒルコは日本神話におけるイザナギイザナミの国造りの過程で生み出された奇形児で生後すぐに海に流された。この伝承を元にした漫画家・諸星大二郎の「妖怪ハンター」シリーズに登場する。
水子
水子は流産・死産により生まれなかった子供または堕胎・中絶により母親に殺された子供とされている。古来、日本の風習では7歳を迎える前の子供は神の域(すなわち人智の及ばぬところ)にあるとされ、「人」となるのはそれ以降であるとされた。つまり、生まれていようがいまいが夭折(幼くして亡くなった)した子供はすべて神の元へと戻るという考え方がむしろ一般的であった。残念ながらこの考え方が逆に人身売買や飢饉の際の食人を肯定し、児童虐待に繋がった。水子供養の歴史は浅く、その考え方についても日本古来の考え方とは相反するものであり、多分に堕胎や中絶を戒める考え方として定着した。
統合失調症(精神分裂病)
脳内物質ドーパミンの異常により発症するこの精神病は幻覚・妄想を主症状とする。有り体に言えば認識の異常であるのだが、高名な芸術家にもこの病を罹患していたとされる者も多く、それを異常とするか常人に勝る超知覚とするかの判断は避けたい。文明開化により生じた一種の文明病とする考え方もあるが、あるいはこの症状を持った人を「進歩した社会」が「病者」と扱うようになった為とも考えられる。罹患者はほとんどが内省的であり、社会や周囲に対して恐怖の感情を抱く。それが翻って他者への攻撃衝動に結びつき、様々な問題を引き起こすことも「ある」ことから差別と偏見の対象となっている。ちなみに麻薬をその成分とする強い治療薬は健常者に幻覚・妄想をみせることもある。劇中、クルミは両親を含む周囲からこの病を疑われていたが、主治医であるタケヒコは頑なに否定し、逆にアキガワは肯定した。タケヒコがアキガワにUFOの議論をしたのも、実際にそこにあるものが見えているのか、脳内物質がそう見せているのかという議論である。
贄
治水(河川の氾濫や洪水を防ぐ)の為に人身御供(生贄)を差し出すという考え方は古代中国まで遡ることが出来る。一説によれば、三国志に登場する諸葛亮孔明が生贄に替わるものとして饅頭(小麦粉の皮に豚肉を包んだもの)を考案したとされる。日本神話においても、八岐大蛇(やまたのおろち)(怪物ではなく氾濫する河川とされる)を鎮めるため差し出されようとした稲田姫(くしなだひめ)を素戔嗚尊(すさのおのみこと)が救出。八岐大蛇を退治(すなわち治水に成功)したとされる。迷信に基づく生贄の否定こそが文明社会の象徴といえる。しかし、そんな日本においても近世まで迷信が幅を利かせており、人身御供は公然と行われていた。人間関係のひずみを「いじめ」という行為で穴埋めすることはその名残であろうか。
生贄に対する感謝と罪悪感が供養・祭祀という形で信仰に結びつき祠として残されている。
生贄に対する感謝と罪悪感が供養・祭祀という形で信仰に結びつき祠として残されている。
地蔵
地蔵菩薩は「子供の守り手」として信仰されてきた。現在でも子宝や安産、成長祈願が行われている。また、道祖神(道案内の神)と衆合し、街道脇に設置されることが多い。明治維新後の廃仏毀釈により激減した。
アニミズム
自然信仰を指す。神道はこの考え方を基本としており、歴史ある神社はその境内に神域としての杜(鎮守の森)を持つ。これらの樹木は大切に保護されたことで、樹齢が数百年を数えるものも多い。拝殿や本社(つまりは一般に参拝や祭祀が行われる建造物)を持たない社もあることから、信仰の対象は拝殿ではなく杜や神木そのものという考え方も出来る。
井戸
井戸は水をくみ上げるという本来の役割だけでなく、水の恵みを与えるものとして信仰の対象とされた。その一方で深い井戸は日中でも天空の星々を映し出すものとして畏れられ。井戸の底は黄泉(死者の世界)に繋がるものとされ、井戸の底を覗き込む行為は禁忌であった。信仰(崇め奉る行為)と畏怖(畏れ戦く行為)は表裏一体となっており、神道における神とはその両面をもって祀られている。
蠱術
蠱術とは生物を使い相手を呪う呪術。飢餓状態の犬の首を刎ねて埋めることで呪詛するという方法があった。劇中では犬でなく猫を瓶に閉じこめて生き埋めにする方法をとっている。
陽見七神
物語の根幹に関わるため詳細には触れない。
それぞれが祀られた地名と関連する噂のみ記載する。
「陽留見烏塚」(カラスの森)
「人面ガラスの噂」「浮遊霊の噂」「殺人ピエロの噂」
「姫の杜」(死者の社)
「花子のさんのお墓の噂」
「童社」(山鳩童子の社)
「迷い通りの噂」
「隠れ社」(天狗の社)
「森の宝物の噂」
「猫狭間」(ネコマタの社)
「猫の集会の噂」
「塚里稲荷」(キツネツキの社)
「ヒミツの事の噂」
「鳴子塚」(鳴子様の社)
「工事現場の噂」
それぞれが祀られた地名と関連する噂のみ記載する。
「陽留見烏塚」(カラスの森)
「人面ガラスの噂」「浮遊霊の噂」「殺人ピエロの噂」
「姫の杜」(死者の社)
「花子のさんのお墓の噂」
「童社」(山鳩童子の社)
「迷い通りの噂」
「隠れ社」(天狗の社)
「森の宝物の噂」
「猫狭間」(ネコマタの社)
「猫の集会の噂」
「塚里稲荷」(キツネツキの社)
「ヒミツの事の噂」
「鳴子塚」(鳴子様の社)
「工事現場の噂」