全長 | 70~90cm |
重量 | 1.3~1.7kg |
地域 | ヨーロッパ |
年代 | 10~17世紀 |
片刃で身幅の広くて重い、断ち切り用の片手剣がファルシオンである。
フランス語ではファルシオン、英語ではフォールションになる。
一説では、このファルシオンに北ヨーロッパの民族が長柄を付けたものがグレイブではないかと言われている。
どちらも三日月形に弧を描いた刃が特徴で、峰側は真っ直ぐに伸びている。
また、17~18世紀においては、切り先がわずかに反らしたものが登場していた。
1 | 剣身:ブレイド(Blade) |
2 | 切先:ポイント(Point) |
3 | 柄:ヒルト(Hilt) |
4 | 鍔:ガード(Guard) |
5 | 握り:グリップ(Grip) |
6 | 柄頭:ポメル(Pommel) |
ファルシオンのような片刃の刀剣は、暗黒時代からルネサンスにおける美術品や遺跡に数多く見られている。
絵画などでは、密集陣形でファルシオン片手に敵と相対している場面が多く描かれていると言う。
その起源は13世紀に北欧で生まれた説、アラブ諸国に影響されて生まれた説と2説存在している。
十字軍から中東の曲刀の技術をヨーロッパに取り入れたのではないか?という考えが「アラブ諸国説」。
最も形状の近い、片刃短剣の「サクス」を巨大化した「スクラマサクス」を更に改良したものではないかというのが「北欧説」。
峰側が真っ直ぐという特徴を考慮すると、「北欧説」のほうが有力ではないかと思われている。
短く切断に向いた刀身であることから、狭い場所や乱戦でも十分に切りかかることが出来る、取り回しのいい武器である。
振りかぶって断ち切ることによって、その真価を発揮することが出来る。
…ただし、利点ばかりではない。
振りかぶって断ち切るという動作は、防御を最も疎かになってしまう攻撃方法なので、避けられたり天井が低い場所で使用した場合、後が極めて危険である。
また、重い刀剣であるため、長期戦には向かないだろう。
ファルシオンが全盛だった時代は、あの伝説のアーサー王が実在したといわれている時代でもある。
そのせいかアーサー王伝説の古い書物には、アーサー王のエクスカリバーや、その部下の円卓の騎士の刀剣の挿絵がファルシオンのような片刃の剣だったものもあるという。
個人的には十字ヒルトのロングソード、もしくはバスタードソードがエクスカリバーっぽいなーと思うのだが…
2008年 9月14日更新 2009年 9月27日 画像差し替え
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